【会員限定】統計で見る機能性表示(訴求点別)

2024年10月16日

機能性関与成分別はこちら

今年3月に発生した小林製薬の紅麹製品による健康被害問題を受け、機能性表示食品制度は創設10年目にして大きな岐路に立たされることになった。それでも令和6年度は9月末時点ですでに504件もの機能性食品が届出受理されており、年間1000件超のペースを維持している。これまでに届出受理されている8829件(9月25日時点、すでに届出撤回されている製品を含む)について訴求点と関与成分別にランキングを作成し、最近の傾向を分析した。

「肌」が1000件迫る

訴求点別では、「脂肪関連(体脂肪、中性脂肪、おなかの脂肪を減らす、脂肪を消費しやすくする、など)」が2500件を突破。ダイエット商材は通年で人気が高く、また訴求ポイントも分かりやすいことから圧倒的な人気があり、機能性表示食品全体の約28%に達している。脂肪に関連するヘルスクレームも細分化しており、原料サプライヤーやOEMメーカーによる差別化戦略も活発だ。

「肌」関連は、今回初のトップ3入りを果たした。アフターコロナによる外出機会の増加で美容商材の需要が高まったことも一因のようだ。

「保湿」「紫外線」「肌弾力」「糖化ストレス」などこちらもヘルスクレームが細分化しており、「肌+睡眠」や「肌+便通」など、親和性の高い訴求ポイントと組み合わせた届出も目立っている。

また、関与成分別でGABAが圧倒的トップとなった影響もあり、「疲労感」(899件)、「睡眠」(817件)、「ストレス」(726件)なども大幅に件数を伸ばした。

19位の「免疫機能」は、長らくプラズマ乳酸菌一強の時代が続いていたものの、一昨年にはアサヒグループ食品のL‐92乳酸菌、昨年にはキユーピーの酢酸菌GK‐1が届出受理されたことで「三つ巴」の様相に。

各社ともに積極的なOEM戦略に舵を切り始めており、免疫商材の需要が高まる冬場に向けてさらなる市場の活性化が予想される。同時に、免疫分野における新規成分の登場にも注目したい。

「むくみ」「尿酸値」「血管の柔軟性・しなやかさ」などはニッチな訴求ポイントである一方、原料メーカーやOEMメーカーの努力もあり、機能性表示の実現で着実に市場形成が進んでいる。

今回ランクインとならなかったが、「肝機能」(61件)、「口腔ケア」(32件)、「胃」(20件)などといった分野も競合商材がまだ少ないため、今後急増する可能性もある。

10年注目を集めている「フェムテック」関連では、「月経前の晴れない気分・睡眠」(10件)が話題となったほか、「膣内環境」(10件)、「女性の排尿」(3件)なども登場。ヘルスクレームに「女性」を含む製品は251件に達しており、社会的なニーズの高まりを背景に今後も取り組む企業が増えそうだ。

一方、「男性」を対象とした製品はわずか29件と少ないが、今春には「加齢により感じやすい体調の変化を自覚している男性の心理面(加齢により低下しやすい落ち着いた気分、穏やかな気分、楽しい気分)の維持」とのヘルスクレームが登場。「男性更年期」や「メンテック」といったキーワードが話題となる中で、今後は男性特有の健康問題を対策する機能性表示食品にも注目していくべきだろう。

また、新規ヘルスクレームでは「のどの乾燥感軽減」(関与成分:ラクトフェリン)が登場。この他にも前例のない表現で届出を目指す企業の動きもあり、各社の努力が光っている。

専門家「PRISMA2020、対応難しいケースも」

機能性表示食品の届出サポートについて850件以上の実績を持つ薬事法マーケティング事務所の渡邉憲和代表は「紅麹問題の影響で消費者がサプリメントへの懸念を抱いていることや、GMP管理などへの対応も鑑みると、短期的には『その他加工食品』での届出が増加し、関与成分も天然物に近いものが好まれるのでは」と分析。

さらに「PRISMA2020での届出については細かい指摘も多く、対応が難しい成分が出てくる可能性も考えられる」との見解を示した。

PRISMA2020への移行期間が半年を切り、新規成分の慎重な届出チェックなど届出事業者を取り巻く環境は厳しくなる一方だが、こうした状況を打破するような業界各社の努力に期待していきたい。


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