レジスタントプロテインの将来性/広島大・加藤範久教授インタ
加藤氏〝米と腸内環境・腸内細菌との関係はこれからの研究のホットなテーマの一つになりうる〟
近年注目を集めている〝レジスタントプロテイン〟。レジスタントプロテインは、米や麦などの穀類に含まれており、腸内環境の改善や内臓脂肪の蓄積抑制、コレステロール低下作用などの機能性が確認されている。1997年にレジスタントプロテインの概念を始めて提唱した、レジスタントプロテイン研究の第一人者である広島大学名誉教授・加藤範久氏にレジスタントプロテインの可能性について聞いた。
―レジスタントプロテインの効率的な摂取方法は
加藤 効率的に摂取する方法として、濃縮して摂取するという方法が一番現実的かと思います。一例としてプロファイバー(ヤヱガキ醗酵技研製造)が参考になります。米や小麦、穀類などに消化酵素を作用させ、消化の良い部分を取り除いていき、未消化の画分を回収することでレジスタントプロテインとして有効な成分を濃縮して摂取する方法です。
―レジスタントプロテインの機能性・作用機序について
加藤 消化抵抗性があるという点は、食物繊維に似ています。また、脂肪との親和性が高いという点で、ある程度の説明がつきます。考えられるメカニズムとしては、この脂肪との高い親和性と消化抵抗性を利用して、食物繊維のように脂肪やコレステロールを消化管から体内に取り込むことを抑え、排泄を促進していると考えられます。
―国内外における米の機能性に関する将来性は
加藤 生活習慣病関連に対しては、従来から米の健康機能に関する研究が進められていましたが、これだという決め手がなかなかありませんでした。また、未開拓の分野ではありますが、米と腸内環境・腸内細菌との関係がこれから短いスパンで間違いなくホットなテーマの一つになってくると思います。
これまで、美味しい米の開発やGABA配合米、温暖化でも育つ米の開発などはありますが、健康への影響に関しては比較的情報が限られていました。
それから、もう一つ全く予想していなかった発想で、高野豆腐そのものがレジスタントプロテインの範疇に当てはまることが分かったという事が、高野豆腐の研究を行っている研究者によって偶然に見つかりました。高野豆腐は非常に消化が悪く、強いコレステロール低下作用が見つかったという例です。最近では、このように調べる対象を昔から食されている食品素材にしたり、腸内環境といった切り口にするなど、色々な角度からレジスタントプロテインの発想を念頭に入れた研究が集まってきていると思います。
―ありがとうございました
< 加藤範久氏 プロフィール>
名古屋大学大学院農学研究科農芸化学専攻を単位取得退学後、非常勤講師を経て、1981年広島大学生物生産学部助教授。2001年から教授。2002年から生物圏科学研究科教授。2024年より名誉教授。
↓↓↓ 購読(電子版・紙版)のお申込みは以下よりお願いします ↓↓↓