米健康飲料市場に新潮流/「ナチュラル系炭酸」「電解質」
米国の健康飲料トレンドがここ数年で大きな変化を見せている。主流となっているのはナチュラル系炭酸ドリンクや電解質ウォーターである。ナチュラル系エナジードリンクの代表格は「セルシウス」「オリポップ」で、前者は全米での売り上げが1100億円、後者は380億円の売り上げとなっている。一方の電解質ウォーターはNBブランドから小売りチェーンのPBブランドまで入り乱れ、1兆5000億円市場と推算されている。製品ブランドによっては免疫や腸内環境向けの機能表示もなされている。コロナ前までは米国飲料市場のトレンドと言えば、コールドプレスジュースやコンブチャ、そして従来型のエナジードリンクであったが、新たな潮流によって、消費者嗜好も変化しつつある。しかし、市場関係者や専門家の一部からは、現段階がすでに市場の飽和状態であることから先行きを懸念する声も出ている。 (津田由起子)

「セルシウス」売上げ1000億円超
米国の飲料(非アルコール)市場は、20兆円(2023年、※市場統計各社により異なる)とも言われる巨大市場を築いているが、このうち健康(もしくは健康的イメージ)をコンセプトとしているものは、ゼロカロリー飲料などを筆頭に、ヘルスクレーム表示飲料、植物ミルク飲料まで多岐にわたるが、全体の飲料市場の中で急激に成長している分野でもある。
コロナが落ち着いて2022年頃から大きな成長を遂げている一つが、ナチュラル系炭酸ドリンクと言われる製品群である。
従来のエナジードリンクと異なり、カフェインを強調せず、従来型エナジードリンクではあまり用いられなかった天然由来の機能性成分やフルーツをイメージしたフレーバーを重視した飲みやすい飲料で、ユーザー層の幅を広げたのが大きい。
最も成功したブランドは「セルシウス」(セルシウスホールディングス社)で、日本円で1100億円(2022年)を売り上げ、昨年も対前年比10%以上の伸びを示している。クエン酸などがベースとなっており、各種機能性成分が配合されている。大手ドラッグストアやスーパーなどの一部は特設コーナーを設けるなど、メーカー及び小売りが販促に注力している。一昨年、ペプシが同社に投資するなど、「セルシウス」ブランドの価値は高まっている。
そして後を追うのが「オリポップ」(オリポップ社)、「リキッドデス」(サプライングデマンド社)などである。前者はオリゴ糖などを用いた機能せ飲料で日本円で380億円(2022年)、後者は缶のデザインは従来型のエナジードリンクをイメージさせるが、実際は天然水や炭酸水、フレーバー飲料となっている。こちらは200億円の売り上げである。
米国流通・小売りの専門家は、「従来型エナジードリンクよりも飲みやすいのと、幅広い層、特に若いユーザーから支持されているのが強いです。米国の飲料は甘さを強調したものが多い中、ノンカロリー、低カロリーを基本としながら、味が良いものが多く続けられるというのも評価される理由では」と話す。
「電解質」大手から小売り系PBまで多数
一方、「電解質ウォーター」も大きな人気を得ている。ナトリウムやカリウム、マグネシウムなどの電解質が含まれている飲料で、体液と近い成分が、細胞レベルで働き、血圧調節や細胞内水分調整などを助けるという考え方である。電解質と言えば日本やアジア諸国では、「ポカリスウェット」(大塚製薬)がよく知られている。米国では一般的なスポーツ飲料とは別に電解質ウォーターとしての認識はまだ浸透に乏しい。しかし、ここ数年で大きな成長を遂げた。コカ・コーラやペプシコ、アボットなど大手メーカーがこぞって発売する一方で、ドラッグストアなど流通小売りチェーンのPBブランドの増加。しかも各ブランドがいくつものフレーバーや機能で種類を揃えており、ブランドごとの棚割りも大きい。ブランドによっては「免疫サポート」や「腸内環境」など関与成分を用いて機能表示をする製品もある。米国内の市場規模は日本円換算で1兆5000億円(2023年)とする統計もある。