2021年9月DgS・SM売上伸長カテゴリ/True Data
〝宅飲み〟〝減税〟で「ビール」が売れた
True Dataは、同社の統計データをもとに、ドラッグストア(DgS)、食品スーパーマーケット(SM)における2021年9月の売り上げ伸長カテゴリを発表した。
9月はアルコール飲料が大きく売り上げを伸ばし、DgS・SMともに「ビール」の売り上げは約3割増加し、「スピリッツ」は約2割増加した。外食の機会が減ったことにより、家飲み需要が増加していた影響と考えられる。
DgSでは「ビール」の売り上げが前年同月比27.3%増、「スピリッツ」は17.8%増。SMにおいても「ビール」は27.8%増、「スピリッツ」は21.5%増と伸長した。
家飲み需要が増加したことに加え、「ビール」は酒税法改正により減税になった影響も考えられる。
「農産珍味」も伸び、DgSで「お酒」&「おつまみ」購入する傾向に
DgSで最も伸長した「農産珍味」(甘栗、干し芋など)は前年同月に比べ48.7%増となり、ヘルシーな自然派おやつの人気は続いている。
トップ3における食品カテゴリーは「農産珍味」と「ビール」になり、DgSでお酒とおつまみを購入するスタイルが浸透しているようだ。
8月にDgSの伸び率ランキング1位だった「解熱鎮痛薬」は、9月は2位で前年同月比36.2%増で引き続き高い伸長率を示しており、ワクチン接種への備え需要が継続しているものとみられる。
さらに「バス用洗剤」が前年同月比13.5%増、「パイプ・風呂釜クリーナー」は9.4%増、「トイレ用洗剤」は8.8%増と売り上げを伸ばしており、外出を自粛するなか、在宅時間が増えたことで掃除用洗剤に対する需要が高まっている
SMでは健康志向飲料とアルコール類の2強に
SMでは、健康を意識したドリンク類の売り上げが好調だった。9月の伸び率ランキング1位の「ココアドリンク」(アーモンドミルクなど)は前年同月比53.5%増、4位の「ビネガードリンク」は26.6%増と大きく伸長している。
上位に「ココアドリンク」「ビネガードリンク」の健康志向飲料と、「ビール」「スピリッツ」のアルコール飲料が混在し、残暑厳しい中の止渇ニーズのみならず、飲用シーンの多様化がランキングから見て取れる。
また、8位の「解熱鎮痛薬」がSMにおいても購入されている点にも注目だ。
〈2021年9月の集計データについて〉
・数値…小数点以下第二位を四捨五入
・カテゴリ別伸び率ランキング…生鮮・惣菜カテゴリ及び、カテゴリ名の冒頭に「その他」を含むものを除外し、1店舗あたり200個以上売れているカテゴリを集計
・データ抽出日…2021年10月18日
・全国ドラッグストア、食品スーパーマーケットのPOSデータをもとに統計化した購買データで集計しています。データには店舗・個人を特定する情報は含まれない
医と食をワンストップで――「生活のプラットフォーム」に進化するDgSも
DgSとSMの双方で「ビール」や「解熱鎮痛薬」の売上が伸長している。
SMの武器である「ビール」などの食品と、DgSの武器である「解熱鎮痛薬」。そのどちらもが両チャネルで伸長していることから、小売業態の形が変化していることがわかる。コロナ禍で浸透した〝ワンストップショッピング〟もその理由の一つだろう。
先般、千葉県千葉市美浜区の海浜ニュータウン幕張地区に、ショッピングセンター「イオンタウン幕張西」が開業した。その核となる「ウエルシア イオンタウン幕張西店」は、「生活のプラットフォーム」たるべく、利便性と専門性の両立を推進したDgSの新たな姿だ。
総売場面積424坪のうち、食品売場が約150坪を占め、生鮮食品を含めた商品を取り扱っている。
「ウエルシア イオンタウン幕張西店」には管理栄養士による健康栄養相談も設けているため、「DgSならでは」の食品に、さらに専門性がプラスされる形だ。
時流の変化に対応した新型店舗が続々現れる中、DgSとSM双方の消費動向の違い・重なる点を知るためにも、伸長カテゴリーを注視していくべきた。
データ提供:True Data
文:「月刊H&Bリテイル」編集部 中西陽治