最大&最新鋭の三島工場が本格稼働 ファンケル美健

2021年12月1日

最大&最新鋭の三島工場が本格稼働 ファンケル美健

錠剤品生産1.3倍、アルミ袋充填1.4倍に向上

 ファンケル(島田和幸社長)はこのほど、製品の生産を担うファンケル美健(栁澤 昭弘社長)のサプリメント専用工場「ファンケル美健三島工場」(静岡県三島市)の現地見学会を開催した。80億円を投じた自社最大工場の稼働により、錠剤品生産能力は1.3倍、アルミ袋充填能力は1.4倍に向上した。最新鋭の分包機は一般的な装置の4倍の速度を誇る。施設内には余剰スペースもあり、将来的な需要増にも対応している。同社のサプリメントは中国・越境ECの売上が右肩あがりで推移しており、同工場はグローバル展開の生産拠点になる見込みだ。

ハードカプセルも内製化へ

 三島工場は今年4月に稼働を開始したが、コロナの影響もありマスコミへのリアル公開は今回が初めてとなった。同工場をあわせ、ファンケル美健の生産拠点は全6拠点、うちサプリメントの生産工場は4拠点としている。

 同工場の敷地面積は3万4,671㎡(1万0,488坪)、建物は地上6階建(生産フロアは5階層)で延床面積は3万0,715㎡(9,291坪)の規模。屋根には太陽光パネルを設置し、年間22万kWhを発電し工場内電力量の約10%をカバーする。

 1階は製剤エリアと倉庫・入出荷エリア、2階は充填エリア、4階は賃貸スペース、5階は品質管理室と事務・会議スペースとなる。2階フロアの一部と3階の全フロアが、将来の生産増に備えた余剰スペースである。

 現在の同工場は、錠剤とハードカプセルをバルクで16品目、完成品で30品目を生産している。中期的にバルクで30品目超、完成品で40品目前後まで拡大する計画である。

 自社初となるハードカプセル充填機2台を導入し、基幹製品「内脂サポート」の完全内製化を実現した。このほか今年8月からキリンHDからの受託を開始しており、10月末に「オルニチン」の初回納品を終えている。さらに今期中に9品目の製造を移管し、中期的に14品目を受託する予定である。

 各工程は「ワンルーム・ワンマシーン」の原則のもと、医薬品の製造施設に相当するクラス100,000のクリーンルームでおこなわれる。今年中に健康食品GMPを、来年までにFSSC22000の取得を予定している。

 設備面の最大の見所は、複数メーカーと共同開発した高速分包機である。一般的な装置の4倍の速度で、1分間に200包を包装する。特にファンケルの年代別サプリメントのように、1包に7種類のサプリメントを高速封入する技術は他にないという。

1分間に200包を包装する高速分包機

製造能力3.5倍まで拡張可能

三島工場とファンケルの美健の方針について語る酒井工場長

 見学会で挨拶した取締役生産本部長兼三島工場長の酒井隆氏は、「当社は『世界で最も信頼される健康食品メーカー』を標榜している。最近は海外でサプリメントの需要が伸びており、当工場は急な需要にもフレキシブルに対応できるので、将来の成長を担う拠点になると考えている」と語っていた。

 なお、同工場をフル稼働した場合の生産規模は、先述した余剰スペースをあわせ従来比3~3.5倍まで拡張可能だという。

 当上期のファンケルのサプリメント事業の業績は、コロナ禍で鈍化した国内市場を、中国・越境ECの売上増加でカバーして折り返した。  「中国のサプリメント市場は2.6兆円とも言われ毎年2桁成長が続いている。特に越境ECでは20~30代の若者の購入が多い。近年増えている生活習慣病患者も、市場拡大の追い風になると考えている」(同社広報)

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