タイ、食品輸入の基準改正に伴いISO9001が使用不可に

2021年4月19日

タイ、食品輸入の基準改正に伴いISO9001が使用不可に

4月11日より適用されるGMP証明書関連基準の改正が前提

タイの食品輸入のGMP証明書関連基準が改正される。これまでタイの食品法では、乳製品や体重管理用食品、肉製品など61種類の製品について、国内製造業者や製品仕入れ業者にGMPの遵守を求めており、食品輸入業者にはGMPまたはタイ保健省が定める基準以上の製造工程などの証明書が必要となっていたが、食品医薬品局(FDA)がISO9001の適合証明書が輸入時に使用できなくなるとHPで発表している。

日本貿易振興機構(JETRO)は、タイFDAが、ISO9001の適合証明書が輸入時に使用できなくなる旨を3月4日に当局HPで発表したことを公表した。これは、2月9日に公布した「食品の製造方法などの基準を改正する告示」が前提となっているとみられる。

ISO9001は、国際的な品質保証規格の認証であり、国際貿易上では取引条件にISO9001の認証取得を求めるケースも多い。

これまでタイでは、複数の保健省告示によって食品の製造方法などの基準を規定していたことで、対象となる企業は食品製造施設でさまざまな基準を参照しながら製造工程を管理する必要があった。2月9日の新告示では、従来の複数の告示が統合され、統一した基準が設置されている。以前より詳細な内容となっており、ミネラルウォーターや氷など一部の食品に関しては、従来よりも高い水準の基準を課している。

日本からタイへの食品輸出に関しては、これまで製造施設がタイの告示と同等以上の基準に従っていることを担保するため、GMP証明書などがタイ政府より求められ、これに対して食品衛生法に基づく営業許可証などが使用されていた。

今後もこうした営業許可証などの証明書が引き続き使用できるか否かは、タイの担当官により見解が異なっている。また、証明書を要求される食品の種類について、現在証明書を必要とされていない食品(生鮮野菜・果物、生鮮および冷凍水産物など)が含まれてくるかについても担当官により見解が分かれている状況だ。新告示は今年4月11日からの適用だが、既存事業者には10月7日から適用されることになっている。

しかし、ISO9001に関してはすでに3月8日以降オンラインシステムの提出ができなくなっている。また、既存事業者については、ISO9001に関しても新告示と同じ10月7日からの適用になる。

新規事業者も、4月11日以前にISO9001の適合証明書を使用して食品登録番号を取得した商品については、特例として担当官に提示することで、新告示の本格施行日の前日の10月6日まで輸入時の使用が認められる。ただし、これは3月8日からのオフラインによる提出のみの適用となる。

JETROの現地担当者によると、「当該食品」には日本から輸入される健康食品も含まれるのだという。この基準改正の背景として「複数の告示で不純食品に対して同等の要求事項を規定することを避け、監査上の重複を減らし、事業所における監査効率を向上する、また清潔で安全な食品が食べられるように消費者を効果的に保護するとともに、加工食品の製造規格のレベルを上げてアセアン経済共同体に進出する準備を整える」などが告示に記載されている。タイの担当官により見解が異なっている。ISO9001に代わり、新告示で定める基準と、証明書を要求される食品の種類について、同等以上の規格などに基づく証明書として何が使用できるかなどは、現時点でまだ明確になっておらず、今後保健省から発表されることが考えられる。

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