「ニューマーケット創造に挑む」Online(4)
明らか食品の野菜の機能を表示したPOPが売り場にお目見え
生活者の野菜の摂取量を増やし、国民の健康づくりをバックアップするため、明らか食品の野菜が本来持つ機能を表示したPOPが量販店などの売り場にお目見えする。POPは、JAHI(日本ヘルスケア協会)が作成し、内閣総理大臣・農林水産省大臣が認定した『直販所や量販店の野菜・果実の栄養素の一般的な機能性・特徴表示に関するPOP等表示マニュアル』に基づき製作されたものだ。参加する小売店は、このマニュアルに基づき作成されたPOPを売り場に表示する傍ら、販売に従事するスタッフ教育が、JAHIの『野菜で健康推進部会』で、順次行われる。
2013年の食品表示法改正で野菜の機能認定
野菜・果物の機能表示認定については、2013年の食品表示法の改正で、機能性表示食品、栄養機能食品表示などの表示ルールに、「野菜を含む生鮮食品も含まれる」ようになった。
しかし、「野菜が持つ機能性を表示するには、個別の分析データやエビデンスが必要ではないか」との認識が広がり、野菜売り場で保健所の職員の査察によってPOPの撤去が命じられるケースが増え、小売店が野菜の機能性表示に慎重になる傾向があり、表示は店頭から撤去されていた。
2018年公表の「機能性表示食品に関する質疑応答集」でPOPや広告に機能性表示が明確に
ところが、2018年に公表された『機能性表示食品に関する質疑応答集』では、「特定の商品を指さなければ生鮮食品について機能性表示食品の届け出は行わなくても、一般的な特徴(特定成分の含有の有無や当該含有成分の一般的な機能性など)については、POPや広告などに表示することができる」ことが明確にされた。
このような背景から、小売現場における適切な広告活動に資するため、野菜が持つ含有成分や、その一般的な機能性についての表示モデルを明確に示すための実証を行うことになったものだ。
ただし、一般的な機能性に関する表示内容は、食品表示法、健康増進法、景品表示法に抵触しないこととされている。
実証段階でPOP表示マニュアル作成へ
明らか食品の野菜実証計画は、野菜が持つ含有成分や、その一般的な機能性の表示モデルを明確に示すことを通じ、①小売り現場における適切な広告活動を促進する、②消費者の自主的かつ合理的な選択を促す、③消費者の野菜の摂取量の増加や健康づくりに貢献する、④より機能性の高い野菜が適切な価格設定を行いやすくする、⑤生産者の競争力や付加価値向上に資することを目的としたものだ。
さらに実証段階では、JAHIが、「直販所や量販店の野菜・果実の栄養素の一般的な機能性・特徴表示に関するPOP等表示マニュアル」を作成する。実証に参加する小売店で、同マニュアルに基づいて作成されたPOPを売り場に表示する。
具体的には、特定成分の一般的な機能性などを表示するほか、野菜の活性酸素消去を測定する方法や、特定の食品の成分含有量、測定値に関する表示を行う。
最終的には、消費者ニーズ、優良誤認性の確認、売上げの変化を確認し検証する。
流通ジャーナリスト 山本武道
(「ヘルスライフビジネス」2020年11月1日号掲載)