プラズマ乳酸菌の新型コロナウイルス抑制を確認/キリンHD
新型コロナウイルス増殖抑制メカニズムを試験管内試験で確認
キリンホールディングスはプラズマ乳酸菌の作用による新型コロナウイルスの増殖抑制効果を試験管内試験で確認し、そのメカニズムを公表した。同社はプラズマ乳酸菌の医薬品としての可能性を深耕しており、日本医療研究開発機構の感染症に対する医薬品開発事業に採択後、新型コロナウイルス増殖抑制の研究を進めている。
キリンホールディングスは、キリン中央研究所(所長 矢島宏昭)と、国立感染症研究所のエイズ研究センター(センター長 俣野 哲朗)との共同研究で、「乳酸菌L.ラクティス プラズマ」(プラズマ乳酸菌) の作用による、新型コロナウイルスの増殖抑制効果を確認し、その作用メカニズムを解析した。
2021年12月に公表した試験で、プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)を培養した後にその細胞を遠心分離等により取り除き、残った液体成分(上澄み液)が、新型コロナウイルスの複製増殖を顕著に低下させることを確認しており、今回はそのメカニズム解析の公表となる。
試験管内試験で得られた新型コロナウイルス増殖抑制メカニズムの成果は、2022年11月13日(日)~11月15日(火)に開催された、第69回日本ウイルス学会学術集会で発表された。
プラズマ乳酸菌による新型コロナウイルスに向けた試験は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の令和4年度 「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業」に採択された研究によるもの。
研究成果 概要
プラズマ乳酸菌がヒトのpDCを直接活性化させることで、抗ウイルス因子「インターフェロンアルファ(IFN-a)」の産出を促すことを試験管内試験で確認した。
また、試験用細胞を用いた解析により、プラズマ乳酸菌は抗ウイルス遺伝子の発現を増加させることによって、新型コロナウイルスの細胞内での増殖を抑制することを試験管内試験で確認した。
新型コロナウイルスの増殖抑制効果
プラズマ乳酸菌で活性化したヒトのpDCから発生した成分を、試験用細胞へ加えて培養した後、新型コロナウイルスを感染させ、3日間ウイルス量を定量PCR法で測定した結果、新型コロナウイルスのウイルス量が大幅に低下した。
【メカニズム】
プラズマ乳酸菌で活性化したヒトのpDCの成分を調べたところ、プラズマ乳酸菌を添加した場合にのみ、抗ウイルス因子であるインターフェロンa(IFN-a)の産生が促進されることを確認。
また、同成分を、試験用細胞へ加えたところ、ウイルスの増殖を阻害する機能が知られているISG15など複数の抗ウイルス遺伝子の発現増加を確認した。
なお、今回の試験は、医薬品としての可能性を追求する研究課題であり、食品として発売しているプラズマ乳酸菌製品の新型コロナへの抑制効果を検証するものではない。