【ニュース解説】明治「R‐1」「LG21」の表記で商標登録
販売実績、認知度を示すデータがカギ
商品名や形、マークなどその商品のブランド戦略において活用される「商標」。その中で文字商標は簡単な文字では認められていなかったが、今年7月に明治の製品ブランドから2つの文字商標が認められた。記号や数字のみの文字だが、長年の販売実績、消費者認知度が認められ登録となった。同様に簡単な文字列で商標を申請するには何が求められるか、有識者に話を聞いた。
認知度の証明による例外的な文字商標登録
明治(東京都中央区)は11月9日、自社製品ブランド「明治プロビオヨーグルトR‐1」「明治プロビオヨーグルトLG21」において「R‐1」「LG21」を文字商標として商標登録したことを発表した(登録は7月28日付)。
記号(アルファベット)や数字のみを組み合わせは型番や品番に使われることもあるため商標登録は難しいと言われている。しかし同社の発表では「全国的な認知度(周知著名度)があり、消費者がそれを見ただけで『何の商品かわかる』状態になっていること」を証明したことで例外的に登録が認められることとなったという。
健康産業でも商標によるブランド化進む
ユニアス国際特許事務所パートナー弁理士の石川克司氏は「会社名と素材名を組み合わせて登録する事例はあるが、明治の今回の商標は社名がない。『R-1」『LG21』の文字の組み合わせでも何の商品であるか識別できることが例外的に認められたこともあり、注目すべき事例だ」と話す。
健康食品の素材では、記号と数字を組み合わせた素材名が用いられていることもある。明治が認められた今回のケースは例外的だが、原料メーカーが同様な申請を行う場合、何が求められるか。
石川氏は長年の販売実績によって消費者に認知されていることに加え、それを示す証拠が求められるという。「長年販売実績があるだけでは特許庁では認められないため、消費者に認知されていることを示す証拠が求められる。その商品の売り上げや採用実績を示すデータだけでなく、テレビや雑誌、新聞などのメディアで取り上げられた事例や広告掲載の実績などが該当する」と話す。
商標については健康産業界でも関心が高くなっているという。「健康食品では素材・製品名だけでなく製法や製品のキャッチフレーズなども活用できる。健食産業の企業からは自社商材による登録の相談も増えている」という。 商標はその商品のブランド戦略において商材の差別化に繋がる大きなメリットがある。独自の素材、技術を持つ企業は目指す価値は大きいだろう。