カシスエキスの腸内環境改善作用を発表/森下仁丹
2022年12月20日
プロバイオとカシスの相乗効果にも期待
森下仁丹(大阪市)は、カシスエキスにより、 腸管からの細菌の侵入を防ぐバリアとなる「ムチン」産生が増加し、 腸内環境改善作用が認められたことを発表した。
森下仁丹は2022年12月3日(土)~4日(日)に開催された「第20回日本機能性食品医用学会総会」の一般演題「機能性食品成分の腸内環境,生体機能改善効果 O-31」において、 カシスエキスの研究結果を公表した。
本研究では、カシスエキスによる腸内環境改善作用のひとつとして、カシスエキスが腸管を保護する機能を持つ糖タンパク質「ムチン」の産生に与える影響について評価した。
ムチンは、粘膜、唾液、涙などに含まれる糖タンパク質の一種。
腸管内部では、上皮細胞(杯細胞)からねばねばとした粘液として分泌され、身体にとって有害な細菌や毒素の侵入を防ぐ「バリア」として働く。
また、ビフィズス菌等の善玉菌はムチンを「エサ」として増殖するため、腸内環境を整える一助にもなる。
【研究成果】腸管ムチン産生について
ヒト大腸由来の杯細胞モデル(LS174T細胞)にカシスエキスを添加し72時間培養したところ、非添加時に比べてムチンの産生量が有意に増加した(右図)。
以上の結果より、カシスエキスにより腸管ムチン産生が亢進することが示唆された。
また、生菌を含むプロバイオティクスと、そのエサとなるムチンを増やすカシスエキスを組み合わせることで、さらなる腸内環境改善作用が得られる可能性も期待される。
カシスに含まれるカシスアントシアニンは、目のピント調節機能や血流改善のほか、腸内環境改善に効果があることも報告されている。
同社はこれまでに、カシスエキス摂取による腸内細菌叢(腸内フローラ)の改善と腸内腐敗産物の産生抑制作用を確認し、2022年3月に「日本農芸化学会 2022年度京都大会」にて発表を行っている。