口腔ケア素材「サイクロデキストラン」注力/日新製糖
砂糖との共存下でプラーク形成を抑制
日新製糖(東京都中央区)では、オーラルケア向けの独自素材として「CI‐Dextran mix」(以下、CI)の原料供給に注力している。
CIの主成分であるサイクロデキストランは、黒糖などの食品にも含まれる環状オリゴ糖の一種。日新製糖では、砂糖に菌と酵素を2段階で反応させることでCIの量産化に成功し、2021年に健康食品および化粧品素材として上市した。
その特徴として、強力な虫歯菌の活性阻害作用およびプラーク形成抑制作用を有することが分かっており、特に糖との共存下においても有効性を発揮できることが他の口腔ケア素材との差別化ポイントとなっている。
実際に、インビトロおよび人工口腔装置を用いた実験では、スクロースとの共存下で虫歯菌およびプラーク形成の有意な抑制効果が認められたほか、ヒト試験では毎食後にCIを1%付加した水溶液で30秒間口をすすがせたところ、プラークの付きやすい群においてプラーク指数の有意な低下が確認された。
現在は、機能性表示食品の開発に向けたヒト臨床試験を実施しており、早期の届出受理を目指していく方針だ。
無味無臭で安定性や水溶性に優れることから、最近ではチュアブルタイプのサプリメントやチョコレートなど砂糖を多く含む一般食品、歯磨き粉、洗口液といったマウスケア用品に採用されるケースが多い。麻布大学との共同研究ではイヌの歯周病菌に対する抑制効果を明らかにしていることから、ペット向けサプリメントの引き合いも増えている。
アジア圏を中心に海外からの問い合わせも増えており、今年3月にはドイツで開催される世界最大の歯科業界に関する展示会「ケルン国際デンタルショー」への出展を予定するなど、海外展開にも本腰を入れていく。
今後はプレバイオティクス効果や環状オリゴ糖としての包接効果をはじめ、オーラルケア以外の分野での可能性についても検討を進めていく考え。