福生医師「未病ケア食品として健食を」
日本未病総合研究所代表理事・福生吉裕氏に聞く
――福生先生は昨年、「社会も健康にする健康食品」を提唱されましたが、このSDGs性に注目された切っ掛けを聞かせてください。
福生:「SDGsは2015年に国連で『誰も取り残さない』というスローガンの基に世界の皆でやっていこうと掲げられた17の目標です。その中には地球の温暖化抑止、貧困や飢餓からの脱却、安全な水やトイレの配備、教育の充実、ジェンダー問題とか多岐にわたっております。これらは人間としての幸福の基盤であり、大事なことです。しかし私としては今の日本が直面しているSDGsがあると思います。少子高齢時代の今の日本で持続させなければならない問題は医療システムです。ずばり国民皆保険制度の持続ですね。この問題がSDGsと絡めてはなぜかあまり言れていませんでした。そこで、健康食品業界でもこの国民皆保険制度の持続に一役を担うことを意識していただきたくSDGsを持ってきました。
――今後 どのようなことが予想されますか。
福生:昭和22年・23年生まれの団塊の世代が今年、後期高齢者に入ります。約638万人おります。75歳以上になると医療費は前期高齢者の1.6倍に増えます。そして2025年には総医療費は50兆に届くとされます。一方で少子化の進行、人口減少の問題が迫り、若い人に負担が多く掛かってきます。実際2022年の10月には後期高齢者の窓口負担金は1割だったのが2割と上がり、国民が負担する保険料も収入にスライドして上がるということになって来ました。そして薬価の抑制です。これらの小手先の政策では皆が苦しいだけで結局は国民皆保険制度の持続の解決にならないと考えられます。
――少子化問題についてもお考えがあるそうですが。
福生:少子化対策担当大臣も設けられていろいろ対策を考えられていますが、日本人の人口減少は、セントラルドグマ*ではないかと心得えておいた方が良いかもしれません。厳しいです。そうなってくれば今までのシステムが変わらざるを得ない。そこで大胆な発想が必要であり、それが「未病」です。第三の身心状態としてこの未病空間があるとする考え方が重要ですね。「健康と病気の二つの世界」ではこれからの社会保障制度の維持は難しいと言うのが持論です。
――SDGsを提唱する中で健康食品というのはどういう位置づけになるのでしょうか。 福生:先にも申しましたが、日本型SDGsの一丁目一番地は国民皆保険制度の持続と考えています。そこでトクホ、機能性表示食品を上手に活用するという事が求められます。・・・・・・・・・・・・・・・全文は「ヘルスライフビジネス」1月15日号(電子版・紙版)にて掲載。購読申し込みは以下からお願いします。