カンボジア市場の可能性探るイベント開催

2023年2月2日

中小の日本企業が技術力生かす大きなチャンス

カンボジアの大手不動産企業であるプリンスリアルエステートは、12月8日に東京・目黒の八芳園でイベントを開催し、近年成長著しいカンボジア市場の可能性についてプレゼンテーションを実施した。その模様をレポートする。

経済規模は小さいが近年は安定成長を維持

 東南アジアのインドシナ半島南部に位置するカンボジア王国は、西側をタイ、東側をベトナム、北側をラオスと隣接し、18万㎢の国土に1671万人(2020年国勢調査)の人口を抱えている。名目GDPは約262億米ドルと推算され、その25%を農業、40%を工業が占める。

 1991年には長きに渡った内戦が終結し、2011年から2019年までは年率約7%の安定した経済成長を続けてきた。2020年は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響を受けてマイナス成長となったものの、2021年以降は再びプラス成長に転じた。今後も中国からの直接投資や諸外国からの経済援助を背景とした経済成長が見込まれるため、数年以内には国連が規定する「後発開発途上国」の分類から外れる見通しだ。

 農業の盛んなカンボジアは「ハーブの宝庫」としても知られ、レモングラス、ドクダミ、コリアンダー、バジル、ノニ、ビンロウ、モリンガなどの素材は一部日本国内にも輸入され、健康食品として利用されている。

 名目GDPは隣接するタイの約20分の1、ベトナムの約10分の1となっており、経済規模は小さいものの、健康食品の原料となる農作物の生産や近隣の東南アジア諸国への輸出を含め、日本の産業界にとってもカンボジア進出によって得られるビジネスチャンスは大きいという。

日本カンボジア協会・加藤氏「現地のルール作りから携わることが大事」

 同イベントでは、一般社団法人日本カンボジア協会の常務理事でイル・ヴリール代表取締役の加藤和則氏が登壇。日本カンボジア協会は2023年で設立60周年を迎える歴史ある団体で、歴代のカンボジア大使が理事を務めるなど、日本とカンボジアの架け橋として両国のさらなる経済発展と関係強化に寄与すべく、長年にわたって尽力してきた。

 加藤氏は「歴代のカンボジア大使が役員を務めてきた経緯から、当協会ではカンボジア王室や大臣と直接コミュニケーションを図ることができる。日本に留学経験のある政府関係者も多いため、日本の中小企業にとっては現地市場に参入し、新たなビジネスを構築する際、法律やルール作りにも直接携われることは大きなチャンス」と力説。

 実際に、カンボジアの特産物である「ゴールデンシルク(クメールシルク)」から抽出した成分で化粧品を開発し、日本国内での販売やカンボジアへの逆輸入に成功した事例を挙げた。

 「カンボジアではGDPの3割近くを占めるほど農業が盛んだが、現状では農作物をそのまま販売するしかなかった。そこに日本企業の製造加工技術が加わることで、大きなビジネスチャンスが生まれる。実際に、胴割れによって売れなくなったカンボジアのジャスミン米を日本の製菓メーカーがせんべいやおかきの原料として活用し、輸出に成功した事例もある。こうした技術は日本の中小企業が非常に得意とするところであり、日本の技術力がカンボジアで花開くまたと無いステージ」と期待を込めた。

 本イベントに登場したプリンスリアルエステートグループは、金融、不動産、エアライン、リゾート運営などを手掛けるカンボジアで最大級のコングロマリット(企業複合体)であるプリンスホールディンググループの不動産部門。

同社の日本国内代理店は、東京に手続中の新規法人が務める予定である。

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