JAHI:令和3年5月次 定期記者会見
「健康経営」が企業価値となる
国の″ホワイト企業”顕彰制度は「偏差値」開示の方向へ
一般財団法人 日本ヘルスケア協会(JAHI)は5月11日、都内で定期記者会見を開催。ゲストにJAHIの健康経営推進部会副部会長の新井卓二氏(山野美容技術短期大学教授)を迎え、「健康経営の普及と海外展望」をテーマに講演を行った。
新井氏は、「健康経営は福利厚生だけでなく、企業にとって将来の収益性を高める課題」と示し、健康経営優良法人2021における「大規模法人・ホワイト500」および「中小規模法人・ブライト500」に代表される日本の顕彰制度――国や証券、商工会議所などがさまざまな認定を行っている日本の健康経営の最前線を紹介した。
これからの人生は「仕事をしながら遊ぶ」ライフワークバランスがメインとなり、経産省は「仕事しながら遊ぶ」ことに「学び」をプラスする方向性を示している。
そのためには心身ともに健康であることが何より大切で、「健康経営」が目指すべきは“従業員の健康増進を樹立し、健康管理を経営課題として捉えその実践を測る”ことだと示した。
顕彰制度の新しい形(健康経営優良法人2021)
健康経営優良法人2021は大企業(ホワイト500)と中小企業(ブライト500)の二部門が設けられ、参加企業が増加している。
国主体の顕彰制度としては、「補助金が付かない制度」が特徴であり、企業の取り組みとして珍しい制度。
上場企業で健康経営認定を受けた企業はこの7年間を見ても認定を維持している。たとえ企業が主幹事業を変えたとしても、健康経営の体質は残っており、根付きやすく、会社の基盤になる。
また、大企業の健康経営は関連企業にもその影響を与える効果が期待され、業界を巻き込んでサイクル化を図るのが狙い。
今後は、2022年の顕彰制度は「偏差値」を開示する方向にある。有価報告書に「健康経営」の指標を示す欄が設けられ、健康経営が株価――すなわち企業価値の判断材料になる時代が訪れる。
米国では、社会的責任投資が企業のCSRに欠かせない要素になっており、今やESGに投資する署名をしなければ投資家から資金が得られないほどだ。
また、有価証券取引所に人的資源における表記を求める欄があり、教育・システム等を評価する時代が到来している。
新井氏は「今後は、日本でも有価証券報告書に『人的資源』や『健康経営』の記載を義務化される時代がくるだろう」と示した。