トップセミナーに新井消費者庁長官が登壇/日健栄協
改正は「案件が減っていない」ことが原因
(公財)日本健康・栄養食品協会は5月10日に都内で5年ぶりとなるトップセミナーを開催した。セミナーに登壇した消費者庁長官の新井ゆたか氏は、セミナー開催当日に成立した景表法の改正で〝確約手続き〟や〝直罰〟が導入された点について「事業者にとって厳しい改正となっているが、これは〝なかなか景表法の案件が減っていない〟という現状がある、ということ」と語った。
新井長官は今回の改正で、景表法に〝確約手続〟が導入される点に触れ、「事業者が確約契約を自主的に作成・申請することで、措置命令や課徴金命令を行わない、ということだが、これは決して取扱いを簡便にする意味ではなく、〝早期に是正してもらう〟目的で消費者の利益を守るために導入される」と説明した。
過去10年間で課徴金納付命令を受けたことがある事業者を〝累犯〟とみなし、4.5%までの課徴金を請求する改正に対し、課徴金額が多かった上位10件を上げたうえで「課徴金3%と言っても、実際の課徴金納付命令の金額はそれほど安くはなく、2~6億円がトップ5を占めており、令和に入って軒並み最高金額を更新している状況」と指摘する。
「直罰規定」の導入については「不正な広告で直罰を受けるのは、かなり重い制度であり、強い抑止力だと捉えてほしい」と話し「要するに、10人が10人見て『ちょっとおかしい』と感じるものは認められない、ということ。これは事業主はもちろん、各社の法務、品質表示等の部門でぜひ一度〝消費者の目で〟確認していただきたい」と呼び掛けた。
景表法改正について、新井長官は経団連の勉強会で「基準は何なのか」「不明瞭では」と言われたことに対し、「私たちは10人が消費者の目で見てダメだと思うものしかやっていません。過去の例を見ていただきたい」と回答したことを紹介した。
「企業人ではなく消費者として買う立場になった時、『これは有利誤認、優良誤認だな』と仮に少しでも感じた場合にはその表示は控えていただきたい。それが規律ある業界をつくる第一歩につながる、と思っています」と語りかけた。