売上高3000億を突破/大木ヘルスケアHD
化粧品・健食が増収に貢献
薬系卸の大木ヘルスケアホールディングス(東京都文京区)は、都内で決算記者説明会を開催した。マスクなどコロナ対策商品の需要の反動で、衛生医療・介護オーラル用品の販売が減少したものの、医薬品、化粧品、健康食品が大幅に増加。グループ全体の売上高は3044億4500万円(前年同期比9・4%増)の過去最高売上を達成し、営業利益も20億5900万円(同225・9%増)の増収増益となった。
商品別売上高では、コロナ対策緩和等の影響で、マスクなどのカテゴリー「衛生医療・介護・オーラル用品」が371億円(前年同期比7・8減)と前年を下回った。
一方で、自宅療養の需要や消費者のセルフケア意識の高まりを受け、医薬品は1233億円(同10・4増)、健康食品も755億円(同12・6%増)となった。
また、外出機会増とインバウンド消費回帰の影響で、化粧品は413億円(同18・5%増)と大幅な回復傾向を示している。
卸業とメーカー機能のノウハウを商品開発に落とし込む
大木グループは、中間流通機能を担う株式会社大木を柱に、メーカー機能を有する大木製薬、日野薬品工業、リブ・ラボラトリーズ、エコファクトリーが商品開発を行っている。
同社の松井秀正社長は「業界の中でも『大木は卸』『大木製薬はメーカー』と思われているが、卸業とメーカー機能が相互に係り合い、メーカー企業のサポートを行うのが本質」と語る。
例えば、NB製品が店頭のほとんどを占める中で、大木製薬はニッチなものや特殊な製品、すなわちPBを生み出している。
「PB開発に当たって企業名を出せないメーカーの代わりにODMを行うことがある。これは卸として特殊なスタイル」と話す。
「大木がメーカーになるのではなく、メーカー企業をサポートするのが大木製薬が持つ『メーカー機能』だ。異業種からの参入、ヘルスケア商品を始めたいメーカーにとって、流通も含めたノウハウのサポートがなくては新しいカテゴリーへの挑戦は難しい。また大手メーカーも一般流通網は得意としながらも、ドラッグストアなどヘルスケア流通が薄い企業もある。販売方法もディスカウントか、推奨販売か、セルフ販売かといった商習慣に合わせたサポートが必要となってくる」と説明。
4月に立ち上げたフェムケアの情報発信と市場創造を行う新会社ⅬAUGHBASEも、フェムケアという新市場に参入したい企業のサポートを行っている。
企業哲学を形にするSPBを拡大
小売支援に関しては「各小売業のスタイルに合わせ、差別化を図れるSPB開発に力を入れる」と語った。
SPBは大木が手掛けるPB商品で「プライベートブランド」とは一線を画す「ストアフィロソフィーブランド」=「店舗の哲学に沿った独自商品」を指す。
「小売業全体がPB比率を上げる方針を摂っており、ドラッグストア各社も収益性の原資となるPBを求めている。例えば『セブンプレミアム』(セブン&アイ・HD)のような企業哲学に基づいた商品だ」(松井社長)。
SPBの実例として倉庫型大型店舗のコストコで、個包装、大容量のマスク商品や、マツモトキヨシのPB「 matsukiyo LAB」のエナジードリンク「matsukiyo EXSTRONG」の成功実例を挙げ、「コストコでしか買えないマスク、あるいはマツキヨオリジナルのエナジードリンクを買いにお店に行く、といった来店目的を誘発する、その店舗〝ならでは〟の商品を開発している」と松井社長は述べ、「当社がメーカーと小売業の間に入って共に差別化商品を開発していく。これが流通機能とメーカー機能の両方を持つ大木にしかできないSPB開発だ」と胸を張った。
また同社はドラッグストアを中心とした中間流通業でありながら「今後は一般用医薬品や化粧品、健康食品などのノウハウを活かした『ヘルスケア卸』として進んでいく。ドラッグストアに留まらず、ディスカウントストアやホームセンター、専門店などヘルスケアに参入したい小売業をサポートし、チャネル戦略を拡げていく」とサポート領域の拡大を示した。