ナンノクロロプシスの安定生産技術を確立/イービス

2023年6月9日

EPAはじめ、パルミトレイン酸や葉酸、レシチン、β‐グルカンなど61種類もの栄養素を含有

イービス藻類産業研究所(宮城県石巻市:ebisalgae.com)は、EPAをはじめ豊富な栄養素を含む微細藻類・ナンノクロロプシスの年間を通した安定生産技術を確立し、サプリメントや一般食品、水産養殖餌料、化粧品など多方面に展開している。

      石巻市十八成浜の工場

海洋性の植物プランクトンであるナンノクロロプシスは、重量ベースで約25%もの油分を含有し、特にオメガ3脂肪酸が他の藻類と比較して高含有であることが特徴。  

このほか、オメガ7脂肪酸のパルミトレイン酸や葉酸、レシチン、β‐グルカンなど61種類もの栄養素を含有している。

さらに、その約50%がタンパク質で構成されるため、近年は脂質とタンパク質の新たな供給源として注目を集めている。

また、光合成の際に大量のCO2を吸収すること、海水培養のため貴重な淡水を消費しないこと、バイオ燃料の原料として研究されていることなどから、「SDGs」への貢献も期待される。

水産業界では、養殖魚を仔魚から稚魚に成長させる際に餌料としてナンノクロロプシスを与えると仔魚の生存率が飛躍的に向上するとして古くから重宝されてきたが、日照量や水温など生育環境のコントロールが難しく、人工的な大量培養は困難だとされてきた。

一方、同社ではナンノクロロプシスの培養に適した水温と日照量、ミネラル豊富な海水を有する宮城県石巻市で10年以上にわたって試行錯誤を重ね、2020年には培養プールにドーム型のビニールハウスを設置。これにより、ナンノクロロプシスを従来よりも低コストかつ大量に培養することに成功した。

最近では、サプリメントや化粧品原料としての引き合いが増えているほか、麺、パンなどの主食類や抹茶味の菓子などとも相性が良いため、一般食品の付加価値向上にもナンノクロロプシスの活用を提案していく。

現在は、ヨーロッパの企業と業務提携し、海外に新たな大規模培養拠点を準備中。新工場が近く稼働を予定しており、数年後には生産能力を大幅に増強できる見通しだ。

今後はSNSなどを介した消費者向けの情報発信にも注力し、ナンノクロロプシスのさらなる認知度向上を目指していく。


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