日新製糖と伊藤忠製糖が経営統合
新会社「ウェルネオシュガー」が発足
製糖業界大手の日新製糖(東京都中央区)と伊藤忠製糖(愛知県碧南市)は今年1月1日付で経営統合し、「ウェルネオシュガー株式会社」を持株会社とする新体制が発足した。
来年10月の完全経営統合に先立ち、今月1日にはウェルネオシュガーの社長直轄組織として「ネオ機能性素材部」を新設。これまで日新製糖が扱ってきた「ガラクトオリゴ糖」や「サイクロデキストラン(CI)」、伊藤忠製糖が取り扱ってきた「フラクトオリゴ糖」や「ケストース」といった機能性素材の研究開発および販売拡大を目指し、両社の経験と知識の掛け合わせによるシナジー効果を追求する。
日新製糖では、トクホや機能性表示食品としても豊富な実績を持つ「ガラクトオリゴ糖」および、新たなオーラルケア素材として注目されている「サイクロデキストラン(CI)」の拡販に注力。
特に、サイクロデキストランは世界で唯一のサプライヤーとして新たな事業の柱とすべく成長戦略を強化。現在は機能性表示食品の届出に向けた準備を進めているほか、大手企業や海外市場からの引き合いも増えていることから生産能力の強化も視野に入れている。
一方の伊藤忠製糖では、国産のサトウキビを由来とする「フラクトオリゴ糖」をはじめ、次世代型のプレバイオ素材として期待される「ケストース」や特許製法で魚臭の発生を抑えた「乳化型DHA」をラインアップに加えるなど、機能性素材の販売を強化してきた。今年4月にはツルヤ化成工業(山梨県韮崎市)と資本業務提携を締結し、20%の新規出資を実施。ツルヤ化成工業の得意とするマーケットイン型の営業開発機能を強化し、機能性素材分野を拡充する。
このほか、伊藤忠製糖が行ってきた藤田医科大学とのプレ・プロバイオティクスに関する共同研究講座や新たな機能性素材の探索、知財戦略の強化など、各方面における早期のシナジー創出にまい進していく方針だ。
先般発表した中期経営計画では、フード&ウェルネスの営業利益を今年度の7億円から28年3月期には20億円に拡大すると展望。「製糖業界のリーディングカンパニー」に留まらず、「食と健康のトップリーダー」に成長すると意気込んでいる。
この経営統合により、新体制の下で各機能性素材の研究開発および販売拡大を推進することで、両社は市場における競争力を更に強化することを期待している。これは、健康志向が高まる消費者ニーズへの対応としても、期待大の動きと言えるだろう。