消費者庁、原材料の自主点検要件化で波紋
事業者や有識者からは戸惑いの声も
消費者庁は今日開催された消費者委員会食品表示部会において、機能性表示食品の原材料についても安全性自主点検を要件化する考えを明らかにした。届出を行う事業者は、厚労省のいわゆる「311通知」※の別添1に記載されている原材料の安全性に関するフローチャートに基づき、届出の際に安全性に関する自主点検の提出が求められる。
食品表示部会では、小林製薬の紅麹製品による一連の健康被害問題を受け、5月31日に政府が取りまとめた機能性表示食品制度の見直しの方向性について6月6日に検討を行い、今回はこれまでに寄せられた委員からの意見や質問に対して消費者庁が回答する形で行われた。
消費者庁食品表示対策室の今川正紀室長は、委員から「原材料の製造工場にはGMPはかからないのか」との質問に対し、「最終製品の製造に関するGMPは厚労省の『311通知』の別添2において示されているが、原材料の製造工場にも同通知の別添1に基づく安全確認を求めることを内閣府令または食品表示基準に盛り込む方向だ」と説明。原材料の製造工場が別添1の内容を遵守しているかどうかについては、届出事業者の責任で担保する必要があるとした。
消費者庁の依田学審議官は「『311通知』では、最終製品の製造におけるGMPのガイドラインである別添2と、原材料の自主点検および製品設計に関するガイドラインの別添1があり、届出者はこの2つの責任を負うことになる。『311通知』の趣旨に従って、サプライチェーン全体で責任を負ってください、ということ」と説明した。
次回の食品表示部会では「311通知」の要件化を含め、これまでの議論をふまえたうえで食品表示基準の改正案が諮問される方向だ。
これに対し、機能性表示食品の届出を行う事業者や有識者などからは「原材料の自主点検に関しては検討会の報告書や政府の対応方針にも記載がなく、寝耳に水だ」などと早くも戸惑いの声があがっている。
※「311通知」は、正式名称を「錠剤、カプセル剤等食品の原材料の安全性に関する自主点検及び製品設計に関する指針(ガイドライン)」及び「錠剤、カプセル剤等食品の製造管理及び品質管理(GMP)に関する指針(ガイドライン)」といい、いわゆる「平成17年通知」の改正として今年3月11日付で厚生労働省健康・生活衛生安全局が各都道府県などに向けて通知した。
「ヘルスライフビジネス7月1日号」で詳報予定。