機能性見直し議論注視を/薬事法マーケ・渡邉氏
インタビュー
薬事法マーケティング事務所 代表取締役
日本食品エビデンス協会 代表理事 渡邉 憲和氏
紅麹問題を契機とした機能性表示食品制度の見直し方針が示され、9月1日には食品表示基準の改正が予定される。制度に携わる多くの事業者が対応を迫られることになるが、制度見直しのポイントや事業者が留意すべきことについて、800件以上の届出サポート実績を持つ渡邉憲和氏(薬事法マーケティング事務所代表取締役、日本食品エビデンス協会代表理事)に話を聞いた。
―9月1日には制度見直しを盛り込んだ食品表示基準が施行されます。
渡邉 改正案はすでにパブコメが始まっていますが、具体的な対応や変更となる範囲について決められていないことも多く、引き続き動向を注視していく必要があります。
さらに問題なのは、こうした制度を巡る最新の情報が末端の届出事業者までなかなか伝わっていないということです。中には「機能性表示食品の販売がある日突然できなくなる」という、最悪のケースも出てくるかもしれません。
本来は消費者庁が事業者に対してもっと積極的に周知していくべきだと思いますが、残念ながらそれが十分とは言えない状況ですので、届出に関わる企業の方は、業界団体や業界紙などを活用して制度見直しの動向をチェックするなど、常にアンテナを張っておくことが重要です。
―事業者が対応すべきポイントは。
渡邉 食品表示基準が改正され、付帯する情報が公表されるまで具体的な対応が難しい部分もあります。現時点で決まっている「PRISMA声明2020」での届出に関しては、消費者庁のチェックが予想以上に細かく、指摘を受けて差し戻しを受けるケースが多い印象です。さらに、変更届出のチェックでは新規届出以上に時間を要しているケースもあり、猶予期間が終わる来年4月1日に向けて余裕を持った計画を立てていく必要があります。
今後、製品パッケージの表示内容も大幅な修正が求められます。「切り抜き表示」や「キャッチフレーズ」の使用が難しくなるため、デザインを含めて修正する必要があります。一方で急なパッケージデザインの変更は一般消費者が困惑する可能性もありますので、ブランドイメージを損なわないような配慮も必要です。
―制度の厳格化を憂慮する声も多いです。
渡邉 今後、一連の制度見直しに対応できず、淘汰される企業も少なからず出てくるでしょう。場合によっては「届出できない」という判断も重要になると思います。
その一方で、制度が厳しくなればなるほど生き残った会社にとってはチャンスとなるはずです。事業者には、より高いリテラシーや変化に柔軟に対応する力が求められますが、競合が少なくなる分、販売戦略がシンプルになる部分もあるでしょう。
自社だけで制度の変化に対応するのが難しいという場合は、第三者に相談するのも一つの手です。機能性表示食品に関してお困りの企業の方は、当社にご相談いただければと思います。
―ありがとうございました。
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