キャラクターコラボ健食に注目!

2024年8月30日

キャラクターコラボ健食に注目!インバウンド視野に入れた展開も

 キャラクター大国とも呼ばれる日本。アニメや漫画を中心とするサブカルチャーは、国内外において高い人気を誇っている。日用品や雑貨など、有名キャラクターとコラボレーションした商品も多数販売されており、その市場は約2兆7000億円と成長を続けるなか、健康関連商品における活用も広がっている。なかにはインバウンドを視野に展開する商品もあり、有識者からも期待の声がある一方、キャラクターの知名度によって得られる費用対効果をよく考慮すべきという意見も聞かれる。【編集部 / 栁沼・味田・本間】

「推しの子」や「ポケモン」人気

 矢野経済研究所の調査によると、2023年度のキャラクタービジネス市場規模(商品化権・版権)は、前年度比2.2%増の2兆6969億円。「推しの子」や「鬼滅の刃」、「ポケモン」、「スーパーマリオ」などが市場拡大に大きく貢献した。2024年度のキャラクタービジネス市場規模は、前年度比1.8%増の2兆7464億円になると予測されており、「『ちいかわ』や『おぱんちゅうさぎ』の人気が若い世代だけではなく幅広い世代へと広がっていくことに加え、『シティハンター』や『キン肉マン』など中高年世代向け作品の商品化権および版権がともに好調になると予測される」としている。

10年以上販売される商品も

 食品関連では「鬼滅の刃」とコラボした缶コーヒーが発売3週間で5000万本販売され、同メーカーのコーヒー飲料販売本数が前年同月比で1.5倍となった事例や、「ポケモン」コラボ牛丼の販売実施期間に売上高が前年同期比で7.4%増となった事例などメディアでも数多く取り上げられているが、健康関連においても、多数の新商品やロングセラー商品が存在する。

 協同乳業(東京都中央区)は、サンリオキャラクター「シナモン」と「乳酸菌が生きているフローズンヨーグルト」のコラボパッケージ商品を販売。起用した背景について担当者は「同商品は20代~40代女性をメインターゲットとした商品で、『サッパリとした酸味』と『サクッと食感』が特徴です。今回コラボさせていただく『シナモロール』はこれらの層に非常に人気が高く、売場での視認性向上にも繋がると考え起用に至りました」という。

 また、日清ヨーク(東京都中央区)も、主力製品「十勝のむヨーグルト」とサンリオキャラクターとのコラボ展開を開始した。コップ1杯で約400億個の乳酸菌NY1301株が「ぎゅうぎゅう」に入っていることをアピールするため、50ものサンリオキャラ達が「ぎゅうぎゅう」に描かれたパッケージを限定販売する。担当者は、「販促に向けて理解を深めていくなか人気イベントである『サンリオキャラクター大賞』の力を借りることができればと思い起用に至った」と話す。

 ネイチャーラボ(東京都渋谷区)は、ダイエットサポートサプリシリーズ「スベルティ」で販売している「ぱっくん分解酵母」と、バンダイナムコエンターテインメントの世界的人気ゲーム「パックマン」のコラボ商品を販売している。同品は、「食べる」がコンセプトのゲームである「パックマン」と、「食べることを楽しむ」をテーマとした「ぱっくん分解酵母」の親和性の高さよりコラボが実現した。

 また、完成した商品とキャラクターをコラボさせるだけではなく、商品の開発段階から、キャラクターのイメージとコンセプトを合わせて、作りあげられた商品もある。

 明治薬品(東京都中央区)は、ライセンス事業を行うトムス・エンタテインメント(東京都中野区)と共同で「ヒーロー&ヒロインサプリ」を開発、販売している。同シリーズは、「巨人の星」「あしたのジョー」「アタックNo1」の主人公をパッケージに採用し、キャラクターに合わせ各商品の訴求、含有成分を設計した。「巨人の星」とコラボする「ゆけ ゆけ エナジー補給」は、ビタミン、アミノ酸、マカを配合し、パフォーマンスを発揮したいユーザーを想定。「あしたのジョー」とコラボする「あしたのダイエット」は、辛味成分・カプサイシンやL‐カルニチンを配合して健康的なダイエットを訴求し、過酷な減量が求められる「あしたのジョー」とはあえて対照的な内容となっている。

 キャラクターとの商品コラボを数年以上継続するロングセラー商品も存在する。

 味の素(東京都中央区)の「アミノバイタル(登録商標)」シリーズのなかの「アミノバイタル ゼリードリンク ガッツギア」は、「イナズマイレブン」とコラボした商品パッケージを10年以上にわたって販売している。

 担当者は「ガッツギアはブランドの中でも小中学生をターゲットとした商品のためこの年齢層に人気のイナズマイレブンを選んでいます」と話し、「他商品との差別化を狙ったコラボですが、同じブランドの商品の中でも売上は好調」だという。

 同社では他にもキャラクターとコラボした商品を複数展開しており「キャラクターは海外での認知度も高く、外国人観光客の購入も期待できる」(同担当者)と、インバウンド需要の獲得も視野に入れて行われていることが分かった。

      – キャラコラボ健食の一例 - 10年以上のロングセラーも

年代ごとの商品展開も広がる

 こうしたキャラクターを活用した健康関連商品の開発に関して、日本サプリメント協会理事長でジャーナリストの後藤典子氏は「キャラクターを起用した商品は、以前は『可愛い!』というイメージで、子どもから評価が高いため、菓子類に起用されることが多かったのですが、最近では、年代ごとのキャラクターという着眼点から、訴求したい層に馴染みのあるキャラクターを起用することで、商品展開の幅が増えたように感じます。また、日本人だけでなく、日本のサブカルチャーを求めてやってきた海外の方々に対しても、人気アニメやゲームのキャラクターとのコラボや、古くから有名なキャラクターを使用するなど、上手に日本のサブカルチャーを使用することで、観光客の方に手に取ってもらいやすくなるでしょう」とコメントしている。

弁理士「間口を広げる良い戦略」、

キャラクター評論家「問題発生時のイメージダウンを恐れて断る場合も」

 こうしたキャラクターを使用した商品の開発について、商標を専門とするナビジョン国際特許事務所弁理士の石川克司氏は「BtoCの間口を広げるためにも良い戦略」と話し、前述の味の素の事例のようなインバウンドによる需要についても「海外の方にも日本のアニメキャラクターは認知度が高く、商品パッケージに使うことは好印象を与えるため効果的だと思います」と話した。

 キャラクターを使用するライセンス料は知名度のある人気キャラクターであるほど高額になり、契約期間に応じて決まったライセンス料を支払う「定額実施料」と、販売数量や純利益などから算出する「経常実施料」などの方法で支払うことになるが、石川氏は「知名度のある人気キャラクターの場合は売上増も期待できるが、あまり知られていないようなキャラクターを使っても効果は得られない。当たり前ではあるが、商品に使用する際は十分な検討が必要になる」と話した。

 また、キャラクター評論家のろばとでにろう氏は「健康食品は海外向け・インバウンドでの引き合いが多く、そのような商品への活用も良いのではないだろうか、と個人的に思っています」と話した上で、健康食品とキャラクターのコラボについては、「効果が無いなど問題が起きたときのイメージダウンを恐れてコラボを断ると言う考え方はあります。例えば、小林製薬の紅麹問題のように健康被害があったときのイメージダウンが怖い。また、食品ではありませんでしたが、ビッグモーターのCMに起用されていた俳優の佐藤隆太さんも、佐藤さんご自身は何ら関係がなく、むしろとばっちりを受けた被害者側なのにも関わらず、ビッグモーターの悪いイメージと重なって見られるようなこともありました」と、危惧すべき点についてもコメントした。


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