ヒトミルクオリゴ糖研究会開催/協和発酵バイオ

2024年9月19日

日本国内での承認、社会実装に向けて

協和発酵バイオ(東京都中野区)は8月、「HMOs研究会第3回シンポジウム」を開催。国内外でのHMOs事業への展望・動向を主題とし、新たな研究成果や臨床から見た母乳成分の意義についても紹介された。

ヒトミルクオリゴ糖(HMOs)はヒトの母乳に特異的に含まれ 、乳幼児の脳の発育や免疫機能に重要な成分である。同社は1998年に独自技術により世界で初めて糖鎖の大量生産システムを構築し、2022年にはタイ工場を竣工。2FL、3SL、6SLの3品目を上市し、東南アジアを中心に販売を進めている。日本国内ではまだ承認されておらず、同社では研究会などを通して未来の社会実装に向け啓発に取り組む。 

帯広畜産大学の浦島匡名誉教授は、「近い将来には国内で使用許可が降りる可能性が大きく、今後の活発な事業展開が見込まれる」としている。

同社営業マーケティング部主査の落合将之氏は、「食品利用の現状」について解説。「主要な国々の約90%の消費者が母乳の組成を望んでおり、2030年に向けて粉ミルクの世界的な市場拡大が見込まれる」「HMOsは粉ミルク用途や食品原料として欧米を中心に承認されアジア地域にも拡大。2024年7月時点では53カ国で配合製品が販売され、ベビーフードをはじめ一部のダイエットサプリや一般食品にも使用されている。特にベトナムは粉ミルクの40%に採用され人気が高い」「『免疫』『プレバイオティクス』『母乳の成分』『腸の健康』などの表示が多い」と話す。

また、順天堂大学の東海林宏道准教授は「母乳育児の利点と留意点」について講演。母乳栄養の人工乳栄養と比較した場合の効果について感染症関連死亡の低下や下痢症の罹患率の低下、将来のメタボリックシンドロームの発症率の低下など多数データを紹介した。

このほか、「腸内細菌によるシアロオリゴ糖の代謝と機能/東北大学・西山啓太准教授」や「ヒトミルクオリゴ糖のグローバルな科学的及び規則的側面/インターテック社」の講演が行われた。


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