予防領域でDgSがリーダーシップを発揮
予防領域でDgSがリーダーシップを発揮
大木ヘルスケアHD社長 松井 秀正 氏 インタビュー
マスクの励行が感染抑制に寄与
専門家が「コロナは空気感染である」という認識を示し、不織布マスク着用の徹底を呼び掛けている。マスク着用率の高い日本が諸外国より感染者数が少なかったのは事実である。治療の外側にあるヘルスケア=予防が生命の維持に役立ってきたこと、さらには、高機能で安価なマスクの提供に尽力してきた流通の努力も、認められてしかるべきだ。このほど、マスクを含む予防領域製品の流通に取り組む大木ヘルスケアホールディングスの松井秀正社長にインタビューし、「コロナ禍と流通の役割」についてうかがった。以下は同氏の発言要旨である。(取材と文=月刊H&Bリテイル編集長・八島 充)
マスク着用の習慣が活きた
国はワクチン接種や特効薬の開発など、医療=治療の領域でコロナ対策をすすめているが、感染症対策の重要なファクターは予防であり、その領域の多くは、医療の外側に存在している。
2000年初頭、WHOが「感染症が将来人類の脅威になる可能性がある」ことを示唆し、各国で対策が始まった。アメリカでおこなわれる薬剤師によるワクチン接種なども、WHOの指摘から始まったものだ。
日本では2005年、弊社が鳥インフルエンザに備えた「FFP2マスク」(= 欧州EN規格に適合したマスク。米国のN95、日本の防塵マスクDS2に相当)を発売したが、当時の厚労省から「不安を煽るべきでない」と言われ、「感染症対策は医療の領域」とする風潮を強く感じた。
しかし、感染症予防の領域は多くが生活の中にあり、それを支えるのがドラッグストアであるとの確信を持ちながら、めげずに啓発をおこなった。高品質でも価格が高くては習慣にならないと考え、生活者が継続しやすいよう価格を下げる努力もすすめてきた。
世界中でコロナの爆発感染が起きた中、日本で昨春から一定期間感染を抑えられたのは、不織布マスクをつける習慣があったからだと思う。今ではウイルスを物理的に空間に出さないという対策の基本が各国から評価を受け、アジアを中心に不織布マスクが浸透した。日本の功績は決して小さくない。
忘れてならないのは、高品質で安価な不織布マスクを提供し、習慣化を促したてきた日本のドラッグストアの存在と、厳しい選択眼で不織布マスクを選び、健全な市場形成をすすめた生活者の存在である。
そうした取り組みが結実し、この6月にマスクの品質を厳格に定めたJIS規格が制定された。ウィズコロナ時代の生活空間における予防をドラッグストアが担うことで、経済活動が一歩前進することを願っている。
・・・続きは月刊H&Bリテイル10月号で 購読はこちら