ヘルスサイエンスを軸に新たな価値創造/キリンビバレッジ
𠮷村透留社長「既存事業とヘルスサイエンス領域で持続的成長を」
2021年度の清涼飲料市場はコロナ前の水準までは戻らず前年比101%で着地の見込みとなった。外出機会の減少により自動販売機、CVSへの客足が戻り切っていないこと、在宅時間の増加による手淹れ飲料へのニーズの移行が主な要因だ。反面、健康カテゴリーは好調でトクホ・機能性表示食品が1割近く増加、無糖飲料カテゴリーも4%伸長し市場のトレンド化が進んでいる。本年1月1日にキリンビバレッジの社長に就任した𠮷村透留氏は、市場の動きに呼応するように「免疫領域を柱としたヘルスサイエンス事業を強化し、健康に貢献する企業へと変革する」と示した。
キリンビバレッジの業績は、2021年は新型コロナウイルス感染症拡大の拡大の影響が続いたことと、最盛期の天候不順が影響し、販売数量は前年を下回り、2019年中期経営計画の最終年度にあたる2021年の事業利益は205億円(-5.8%)となる見通しだ。清涼飲料の販売実績は2億589万ケースで前年比の97%となったものの、ヘルスサイエンス事業の核となるプラズマ乳酸菌入り飲料が534万ケースと前年比66%の大幅増となった。新商品の「キリン 午後の紅茶 ミルクティープラス」と「キリン 生茶 ライフプラス 免疫アシスト」のヒットが貢献し、プラズマ乳酸菌を含む「プラスの健康」飲料は2018年比で135%の伸びを見せた。
2022年の事業方針は既存の飲料事業の選択と集中による収益強化と、ヘルスサイエンス領域の強化の両輪で持続的成長を目指す。そのうえで戦略スローガンを「ヘルスサイエンスをドライバーとする新たな価値創造への転換」と定めた。
既存の飲料事業は「午後の紅茶」の「無糖」「微糖」商品に注力し、「生茶」は春に大型リニューアルを実施し再成長を狙う。ヘルスサイエンス領域の強化は、「免疫領域」の更なる拡大のため、清涼飲料の接点の広さを活かし「免疫ケア」の習慣化を図る。その柱となるのが3月29日に全国発売する100mlペットボトル飲料「キリン iMUSE 朝の免疫ケア」による “ 朝の習慣領域の獲得 ” である。
「健康ワンショット市場」に100mlペットボトル飲料で新たに参入し、チルドカテゴリーでの「免疫ケア」啓発に着手する。
ヘルスサイエンス領域、とりわけプラズマ乳酸菌による「免疫ケア」を「朝の習慣領域獲得」に成長させ、プラズマ乳酸菌飲料を前年比42%プラスへと引き上げていく方針だ。
そのために湘南工場に約100億円を投資し、小型ペットボトル製造設備を増強。製造ラインの製造能力を向上し、湘南工場全体の年間生産能力を約4,000 万ケースへと拡大する。