世界初の藻類産業創造へ「MATSURI」設立から1年
2025年に2000㏊の大規模培養施設の建設目指す
藻類を活用した世界初の産業を構築する企業連携型プロジェクト「MATSURI(マツリ)」がこのほど発足から1年を迎えた。昨今、効率的にエネルギーを産生できる藻類は環境問題や食料問題を克服しうる生物資源として世界的に注目を集めている。このような中、これまでにも、藻類を小規模に生産し、個別の企業が限られた用途で研究開発・事業開発がされてきたが、産業といえる規模にはならなかった。また、複数企業が集まるコンソーシアム等もつくられたが、ビジョンの共有に留まり、産業の構築には至らなかった。
そこで、バイオベンチャー企業群のちとせグループを中心とする「MATSURI」では、藻類の大規模生産設備を基盤として、健康食品や化粧品、プラ、燃料など、あらゆる産業に藻類を活用してもらい、全体の収益性を高められるようにサプライチェーンを築いていく手法を取っている。
「MATSURI」には現在、DICや富士化学工業、池田糖化など40機関・1個人が参加しており、産業構造や参加機関の役割分担などについてオープンな議論・個別の開発を進めることで、世界初の「藻類産業」創出を目指している。
「MATSURI」では、まずは2025年以降に2000haの大規模生産設備の建設を予定している。稼働後はキロ単価300円以下で藻類バイオマスを供給し、その年間売上は1000億円を見込んでいるという。
並行してこれらのバイオマスを活用した事業開発の検討も開始しており、食品分野をはじめ、バイオエネルギーや創薬、化成品などあらゆる分野への応用が期待される。
MATSURI事務局では「この1年でMATSURIへの注目度や期待が海外でも高まっている。これからどんどん規模が拡大する中で、より多くのパートナーと共に、大きな〝お祭り〟として社会に打ち出したく、そのような仲間をこれからも募集していく」と話している。