腎臓病進行とがん転移の抑制で特許/ニチニチ製薬
「FK-23」「LFK」乳酸菌のマウス試験で顕著な有意差を確認
ニチニチ製薬(三重県伊賀市、☏0595-48-0201)では、独自技術で加熱処理したヒト由来のフェカリス菌原料「FK-23」や「LFK」、「MK-116」を取り扱っている。
「FK-23」と「LFK」は、球状が小さく1g当たりの乳酸菌数を約4兆個まで濃縮。加熱処理した死菌体のため、一般加工食品からサプリメントまで幅広い用途にて活用できる。
同社では、これまで多くの機能性に関する研究を行っており、「FK-23」と「LFK」の慢性腎臓病進行抑制効果について、大阪公立大学と京都府立大学との共同研究成果として昨年10月に特許を取得。この研究では、慢性腎臓病モデルラットを通常食、FK-23食、LFK食を投与する3群に分け、発症の2週間前からそれぞれのエサを自由に摂食させ、発症の8週間後に腎臓を解析した結果、FK-23摂取群、LFK摂取群はいずれも通常食群に比べ腎臓組織の繊維化が顕著に少ないことが分かった。さらに線維芽細胞(α-SMA陽性細胞)の出現も顕著に抑え、線維化の指標となる複数のタンパク質も有意に抑制し、血中BUNやクレアチンに関してもFK-23群、LFK群ともに有意に上昇が改善されたことを確認した。
また同社では、東京大学大学院農学生命科学研究科との共同研究で、「LFK」のがん転移抑制効果を証明し、東京大学との共同出願により先と御同じ10月に特許を取得している。こちらの研究では、マウスをLFK摂取群と生理食塩水を摂取する対照群の2群に分け、連日経口投与を実施。LFK投与3日目に乳がん細胞を静脈内に接種し、乳がん細胞接種7日目に肺の腫瘍コロニーを観察した結果、対照群では全体にがんの転移巣が見られコロニーサイズも大きかったのに対し、LFK群では、がんの生着がほとんど見られなかった。また、転移しやすいがんとして知られるメラノーマを用いた試験ではLFKの水溶性成分を投与したところ、こちらも同様の効果が確認された。
今後、同社では原料生産を強化し、高齢になると腎臓機能などが低下しやすいと言われる猫などペット向け製品への提案にも注力していく。
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