「女王蜂由来乳酸菌」国際養蜂会議で報告/山田養蜂場

2023年11月15日

 山田養蜂場(岡山県鏡野町、℡0868・54・1971)は、ローヤルゼリーの免疫賦活能を高める「女王蜂由来乳酸菌(M1)」を発見。チリで開催された第48回国際養蜂会議(アピモンディア2023)において、研究成果を報告した。


 これまでに、腸管免疫で重要な役割を果たす「M細胞」の分化をローヤルゼリーが促進すること、ならびにローヤルゼリー中に存在するデカン酸がその主な活性成分であることが明らかになっている。
 今回の研究では、ローヤルゼリー中の10-ヒドロキシデカン酸(以下デカン酸)含有量が0・4%と非常に少ない一方、デカン酸と同じ脂肪酸である10-ヒドロキシ-2-デセン酸(以下デセン酸)の含有量は約4倍の1・6%である点、また、この2つの脂肪酸の構造の違いは二重結合の有無のみである点に着目し、①二重結合を切断しデセン酸をデカン酸に変換できるミツバチ由来の乳酸菌の探索、②デカン酸構成比を高めたローヤルゼリーの生成、③免疫機能の評価を試みた。
 まず、ミツバチや女王蜂、蜂の子などから微生物を採取し、157株の乳酸菌を選抜。デセン酸からデカン酸への変換能を持つ菌を調べたところ、女王蜂由来の2株で変換能が確認され、そのうちM1株がデセン酸をデカン酸に変換する能力が最も高いことが明らかとなった。また、M1株がローヤルゼリー中のデセン酸を変換する最適条件を検討し、従来よりもデカン酸量を高めた新たなローヤルゼリー「発酵ローヤルゼリー」の生成にも成功している。
 発酵ローヤルゼリーを用いた免疫機能評価では、ヒト上皮様培養細胞を発酵ローヤルゼリーで処理し、M細胞の分化誘導活性を測定した。その結果、従来のローヤルゼリ―と比較してより強い活性が確認された。
 

 アピモンディア2023では、研究成果とともに「今後は、ローヤルゼリー中のデカン酸量を高めた発酵ローヤルゼリーを含む食品の機能性評価が課題」と今後の展望についても言及し、座長や聴講者らとの熱心な討論が交わされた。

M1株 電子顕微鏡写真

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