統合医療機能性食品国際学会(ICNIM)が開催
研究成果で「ETAS」と「オリゴノール」が認知機能・骨格筋機能の回復を発表
統合医療機能性食品国際学会(ICNIM)の第32回年会が、7月20・21日に札幌で開催された。本学会は、経産省・北海道経済産業局、北海道、札幌市、(一社)北海道健康医療フロンティア、アミノアップ(札幌市清田区)などが後援し、世界27の国と地域から181人の研究者が、それぞれの研究成果を口頭発表やポスターセッションなどで報告した。
開会にあたり、同学会の伊藤壽記会長(大阪がん循環器病予防センター所長)が登壇。「昨年からようやく新型コロナの長いトンネルを越え、正常の生活を取り戻した感があります。今年のテーマは発がんのメカニズムの一つであるエピジェネティクスになります。最近注目されており、環境要因とも関係しているテーマになり、講演を非常に楽しみにしています。」と本会への期待を述べた。
また、アミノアップの小砂憲一会長が登壇。小砂氏は「地球全体で異常気象が猛威を振るっています。CO2の削減など環境問題について真剣に考えていかなければなりません。企業としてもまた研究者の方々にもご協力していただきたいと思います。また、本日は20名以上の学生が全国各地の大学から集まってきています。この学会がこれらの若手研究者において何かしらの起爆剤になっていただきたいです。活発な議論を期待しています。」と思いを語った。
基調講演では、「がんとエピジェネティクス~発がんの素地の解明によりがん予防研究の革新へ~」と題し、星薬科大学の牛島俊和学長が講演。ピロリ菌感染が高度のDNAメチル化異常を誘発し、除菌後のDNAメチル化異常蓄積の程度は胃がんリスクと相関するといった研究成果を発表し、DNAメチル化異常や突然変異を定量することで、効果のあるがん予防薬や食品の開発に生かせる可能性があるとした。
また、一般講演は二日間にわたり、計14講演が行われた。台湾の静宜大学のイン・チング・チャン教授による「ETASとOligonolは筋脳軸を介して認知機能と骨格筋機能を回復させる」では、3ヶ月齢の雄性SAMP8(SAMP8/Ta Slc)マウスにETASやOligonolを与えた研究成果を発表。ETASとOligonolは、記憶と筋肉機能においてそれぞれ特有の機能とシグナル伝達を示し、限定的ではあるものの相乗効果を示したことなどを説明した。
本学会では、会場外にポスターセッションによる多くの研究者の研究成果も展示され、多くの関係者が足を止めその研究内容に関心を示していた。二日目には、一般講演のほか、公開シンポジウムなども開催され、有意義な議論が行われるなど熱気あふれる会となった。会場には国内外合わせ369人が参加し、研究者の研究成果に熱心に耳を傾けていた。