メイプロ・グループCEO 山田リフトン真由美氏インタビュー
米国・ニューヨークに本社を持つメイプロ・グループは、1977年の創立以来、世界中の人々の健康ならびに物心両面の幸福を目指し、科学的裏付けのある機能性原料や最終製品を市場に供給している。昨年秋、最高経営責任者(CEO)に就任した山田リフトン真由美氏に話を聞いた。
‐メイさんが昨年CEOにご就任されてから、約半年が経ちました。今後のご展望を教えて下さい。
メイ フェムテックや女性の健康について、重要なポイントとして進めていきたいと考えています。日本の健康産業界は女性社長があまりいないと聞いていますが、当社は私がCEOになる前から社員の半数以上を女性が占めており、男女ともにリーダーシップを取っています。
女性の社会進出に伴い、さまざまな問題が出てきているのも事実です。大統領選では「女性の健康研究」という議論も出始めていますが、毎日忙しすぎて「自分の健康なんて二の次」という女性がとても多いです。実際、未知な部分でもあります。妊娠期や更年期は、体調などの変化が大きすぎるために治験から外されてしまっている。女性のフェーズが変わっている時の治験が無いのです。
例えば更年期は、30以上の症状があると言われています。イライラ、暑い、眠れない…など人それぞれ違いますが、日本で販売されている更年期向けの有名な商品は限られています。米国ではホルモン治療が中心でしたが、発癌リスクが指摘されてからストップしてしまいました。
米国における女性の健康ならびに美容サプリメントの市場規模は2022年に5兆4500億円と評価されており、2032年までには8兆9300億円に達すると予測されています。2023年から2032年までの年平均成長率(CAGR)は5.2%と、非常に成長が期待される分野です。特に閉経後の女性が32.6%のシェアを持ち、骨粗鬆症などの健康問題や、出産後も成長が期待されるセグメントです。(※HITLABコンサルティング会社との共同調査)
市場ニーズは大きいのですが、女性一人一人が自分に何が起こっているか分からない状況です。当社としては今後、女性それぞれの体に具体的に何が起こっているのかを認識できる仕組みづくりや取組みを行っていきたいと思っています。パーソナライゼーションのセルフチェックアプリも作りたいと考えています。
オープンな会話も大切ですね。米国の女性リーダーシップの会(Women in Nutraceuticals)では、更年期についてもよく話をしています。米国では私の世代がリーダーシップに入ってきており、「CEOになったのに更年期で寝られない」と話す仲間もいます。
‐デジタル技術の応用も進められていると聞きました。
メイ はい。システム面など、社内関連のデジタル投資はもちろんのこと、マーケティング面も力を入れています。
例えば、会社のニューズレポートや市場レポートをSNSで発信し、そのリードを見て、営業に出ています。効率的ですよね。私自身が製薬企業勤務時代に学んだことでもあると感じます。
インフルエンサーも積極的に活用しています。日本では美しい女性が発信するパターンが多いように思いますが、米国では医者などのプロフェッショナルが大きな影響力を持ちます。特に機能性原料のデータが出た際などは、人気医師にYoutubeで発信してもらいます。きちんとしたエビデンスを作り、ドクターが説明するとよく売れる傾向です。
‐米国市場でのお取り組みについて。
メイ さまざま取り組んでいますが、例えば、米国のスポーツサプリメント市場は約1.5兆円と、日本のサプリの総市場に匹敵するほど大きく、我々もフォーカスするカテゴリを見極めながら進めています。今は、パンプ系が主な利益を占めていますね。スポーツ系は商品の入れ替わりが激しいですが、しっかりとしたエビデンスの提供を続けることで、安定した引き合いがあります。
日本と米国は市場のニーズが違うため、日本の機能性原料を、日本とは全く違う売り方で販売して成功するケースもあります。エビデンスをどう市場にマッチさせてPRするかが重要です。
また、分野は幅広いですが、高吸収性・持続性は特に人気のカテゴリです。日本でもリポソーム原料を販売しており、今後ますます需要が増加するのではないでしょうか。
‐リポソームは日本でも人気ですね。
メイ はい。米国製造の特殊ビタミンCをリポソーム化した「リポソーマルピュアウエイC」は、高純度、100%ナチュラル、アレルゲンフリーなどの特徴を持ち、海外同様、日本国内でも引き合い好調です。豊富なエビデンスと品質の高さをご評価いただいています。
注目素材としては、フェムケア向けの「リビフェム」があります。コロハ(フェヌグリーク)種子抽出物由来の原料で、ヒト試験では、女性ホルモンの一種・エストラジオール値の向上や、女性の性的パフォーマンス向上が確認されています。
‐日本市場で注力することや、読者へのメッセージをお願いします。
メイ 当社に対して、米国の印象や機能性原料販売といったイメージが強いと思いますが、原料ならびに最終製品を世界中で販売できるノウハウと実績がありますので、ぜひその点でもお気軽に声をかけて欲しいです。
ニューヨーク、東京、上海のほか、今年5月にはヨーロッパにも新たなオフィスを開設しました。世界各国でビジネスを加速させています。今、注力している中東のほか、例えば、中南米は日系の方が多いので日本の原料がはまりやすいですし、東南アジアも無視できない市場になっており、力を入れていきます。
原料販売、OEM提案、最終製品すべてに関して、各国の規制などの情報がありますので、なんでもお手伝いさせてください。先ほどお話しました、デジタルマーケティングのノウハウやネットワークに関するアドバイスもできます。
当社は開拓者精神に富んだ会社です。ともに取り組んでいけたら嬉しく思います。
‐ありがとうございました。